春、分つ


淡く霞む日射しと 昨日吹いた春一番は
きっと あなたの声ようです

ともすれば、隠りがちで弱っちい僕のこと
励まし、突き動かし、戒めてくれます

いつか会えたら、うれしいなって
憧心のように 焦がれたこと
途はひとつではないはずないのに
太陽ばかり追って 歩く癖

あなたは知らないまま 春は、分つ



車体を汚す細い雨と 昨日そっと咲いた花は
まるで あなたの眼のようです

嘘のつけない一重で デタラメな僕のこと
見守り、労り、睨み付けています

また会えたら、 面白いなって
童心のまま 期待してたこと
ぐるり頭上は拡がってるというのに
西の空ばかり 見上げる癖

あなたは知らないまま 春が、分つ


一緒に歌えたら 楽しいよなって
恋心のよに 膨らませたこと
噛んだ頬の裏 また噛むように
繰り返しては 口ごもる癖

あなたは知らないまま 春に、分かつ


一歩進んで 五歩戻るように
時期はずれに 震えながら

あなたも、僕も

何も知らないまま 春は、往く

何も知れないまま 春と、逝く


θ
2014年03月22日(土) 19時36分00秒 公開
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おや、気づいてなかったですね。どうもありがとうございます。 θ ■2015年11月23日(月) 15時16分22秒
あなたも僕も、春と逝く。何度読んでも美しいなと感じます。儚いからでしょうか。でも何故だかしあわせな気持ちになる。 ouse ■2015年07月20日(月) 19時07分47秒
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